防炎と難燃
「燃えにくい素材」を探している時、「防炎(ぼうえん)」と「難燃(なんねん)」という2つの言葉に出会うと思います。
どちらも「火災を防ぐ」という意味合いは同じですが、実は法律上の定義や対象となる場所が全く異なります。
このページでは、その違いを分かりやすく解説します。
防炎とは(消防法に基づく基準)
防炎は、消防法を基準としています。
デパートや劇場、展示会場など、不特定多数の人が多く集まる場所では、防炎物品(カーテン、じゅうたんなど)の使用が義務づけられています。
火が接しても燃え広がりにくく、火元がなくなれば自然に消える性質を持っています。
難燃とは(建築基準法に基づく基準)
難燃材料は、建築基準法で定められた材料となっており、耐火材料の1つとなります。
主に建物の壁や天井などの「建築材料」に対して使われる用語です。
難燃材料は、加熱開始後5分間は燃焼しない(防火上有害な変形、溶融、き裂その他の損傷を生じない)などの厳しい基準をクリアしたものを指します。
防炎と難燃の決定的な違い
どちらも火災を防止するという特性となりますが、管轄する法律が違うため、単純に比較することはできません。
しかし、一般的には以下のような使い分けがされています。
| 項目 | 防炎(ぼうえん) | 難燃(なんねん) |
|---|---|---|
| 根拠となる法律 | 消防法 | 建築基準法 |
| 主な対象物 | カーテン、暗幕、じゅうたん、シート類 (移動可能なもの) |
壁材、天井材、仕上げ材料 (建物に固定されるもの) |
| 目的 | 初期消火、燃え広がりを防ぐ | 避難時間の確保、建物の倒壊を防ぐ |
どちらを選べばいい?判断基準
炎の危険から守りたいという思いは同じでも、現場が従う法律を比較しているので、法的に本当に難燃が必要なのか、それとも防炎でもいいのか、逆に本当に防炎なのか、難燃でなくていいのかという確認が必要です。
通常、難燃は移動不可能な箇所の壁材や仕上げ材などに適用されます。
一方、防炎材料については、移動が可能なカーテン等に使用される場合が多いです。
不燃材とは?


