防炎と難燃

公開日: 2024.05.14
更新日: 2025.12.23

「燃えにくい素材」を探している時、「防炎(ぼうえん)」「難燃(なんねん)」という2つの言葉に出会うと思います。
どちらも「火災を防ぐ」という意味合いは同じですが、実は法律上の定義や対象となる場所が全く異なります。
このページでは、その違いを分かりやすく解説します。

防炎とは(消防法に基づく基準)

防炎は、消防法を基準としています。
デパートや劇場、展示会場など、不特定多数の人が多く集まる場所では、防炎物品(カーテン、じゅうたんなど)の使用が義務づけられています。
火が接しても燃え広がりにくく、火元がなくなれば自然に消える性質を持っています。

防炎物品に付いている防炎ラベルの例

難燃とは(建築基準法に基づく基準)

難燃材料は、建築基準法で定められた材料となっており、耐火材料の1つとなります。
主に建物の壁や天井などの「建築材料」に対して使われる用語です。
難燃材料は、加熱開始後5分間は燃焼しない(防火上有害な変形、溶融、き裂その他の損傷を生じない)などの厳しい基準をクリアしたものを指します。

防炎と難燃の決定的な違い

どちらも火災を防止するという特性となりますが、管轄する法律が違うため、単純に比較することはできません。
しかし、一般的には以下のような使い分けがされています。

項目 防炎(ぼうえん) 難燃(なんねん)
根拠となる法律 消防法 建築基準法
主な対象物 カーテン、暗幕、じゅうたん、シート類
(移動可能なもの)
壁材、天井材、仕上げ材料
(建物に固定されるもの)
目的 初期消火、燃え広がりを防ぐ 避難時間の確保、建物の倒壊を防ぐ

どちらを選べばいい?判断基準

炎の危険から守りたいという思いは同じでも、現場が従う法律を比較しているので、法的に本当に難燃が必要なのか、それとも防炎でもいいのか、逆に本当に防炎なのか、難燃でなくていいのかという確認が必要です。
通常、難燃は移動不可能な箇所の壁材や仕上げ材などに適用されます。
一方、防炎材料については、移動が可能なカーテン等に使用される場合が多いです。

イメージ
©2020 株式会社星野商店
ページ
TOP