簡易な構造の建築物とは|建築基準法84条の2と開放的簡易建築物の要件
公開日:2025年5月1日 / 更新日:2026年6月10日
「簡易な構造の建築物」とは、建築基準法第84条の2で防火関連規定の一部適用を緩和される建築物の総称です。具体的には、(1)壁を有しない開放的な建築物(自動車車庫・運動施設・畜舎・不燃物倉庫など)と、(2)屋根・外壁が帆布等で造られた建築物(運動施設・不燃物倉庫・畜舎など)の2類型が、いずれも階数1・床面積3,000㎡以内であることを条件に指定されます。本ページでは関連する建築基準法・施行令の条文を整理し、テント倉庫・膜構造物の設計・計画で必要となる条件を一望できるようまとめました。
簡易な構造の建築物の2類型(早見表)
建築基準法施行令第136条の9で指定される「簡易な構造の建築物」は、大きく次の2類型に分かれます。テント倉庫・膜構造物は、屋根や外壁を帆布等で構成する②に該当することが一般的です。
| 区分 | ①開放的簡易建築物 | ②帆布造等の建築物 |
|---|---|---|
| 構造の特徴 | 壁を有しない等、高い開放性を有する構造(間仕切壁なし) | 屋根・外壁が帆布その他これに類する材料(間仕切壁なし) |
| 主な用途 | 自動車車庫/運動施設/不燃物倉庫/畜舎・堆肥舎・養殖場 等 | 運動施設/不燃物倉庫/畜舎・堆肥舎・養殖場 等(自動車車庫は対象外) |
| 共通の条件 | いずれも「階数1」かつ「床面積3,000㎡以内」であること | |
建築基準法 第84条の2|簡易な構造の建築物に対する制限の緩和
建築基準法 第84条の2(簡易な構造の建築物に対する制限の緩和)
壁を有しない自動車倉庫、屋根を帆布としたスポーツ練習場その他政令で指定する簡易な構造の建築物又は建築物の部分で、政令で定める基準に適合するものについては、第22条から第26条まで、第27条第2項、第35条の2、第61条から第64条まで及び第67条の2第1項の規定は適用しない。
政令で指定される簡易な構造の建築物(第136条の9)
建築基準法施行令
第7章の9 簡易な構造の建築物に対する制限の緩和
第136条の9(簡易な構造の建築物の指定)
法第84条の2の規定により政令で指定する簡易な構造の建築物又は建築物の部分は、次に掲げるもの(建築物の部分にあっては、準耐火構造の壁(これらの壁を貫通する給水管、配電管その他の管の部分及びその周囲の部分の構造が国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものに限る。)又は第126条の2第2項に規定する防火設備で区画された部分に限る。)とする。
一 壁を有しない建築物その他の国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物又は建築物の部分(間仕切壁を有しないものに限る。)であって、次のイからニまでのいずれかに該当し、かつ、階数が1で床面積が3000㎡以内であるもの(次条において「解放的簡易建築物」という。)
イ、 自動車車庫の用途に供するもの
ロ、 スケート場、水泳場、スポーツの練習場その他これらに類する運動施設
ハ、 不燃性の物品の保管その他これと同等以上に火災の発生のおそれの少ない用途に供するもの
ニ、 畜舎、堆肥舎並びに水産物の増殖場及び養殖場
二 屋根及び外壁が帆布その他これに類する材料で造られている建築物又は建築物の部分(間仕切壁を有しないものに限る。)で、前号ロからニまでのいずれかに該当し、かつ、階数が1で床面積が3000㎡以内であるもの
簡易な構造の建築物の基準(第136条の10)
第136条の10(簡易な構造の建築物の基準)
法第84条の2の規定により政令で定める基準は、次に掲げるものとする。
一 主要構造部である柱及びはりが次に掲げる基準に適合していること。
イ、 防火地域又は準防火地域内にある建築物又は建築物の部分(準防火地域(特定防災街区整備地区を除く。)内にあるものにあっては、床面積が500㎡を超えるものに限る。)にあっては、準耐火構造であるか、又は不燃材料で造られていること。
ロ、 準防火地域(特定防災街区整備地区を除く。)内にある建築物若しくは建築物の部分で床面積が500㎡以内のもの、法22条第1項の市街地の区域内にある建築物若しくは建築物の部分又は、防火地域、準防火地域及び同項の市街地の区域以外の区域にある建築物若しくは建築物の部分で床面積が1000㎡を超えるものにあっては、延焼の恐れのある部分が準耐火構造であるか又は不燃材料で造られていること。
二 前号イ又はロに規定する建築物又は建築物の部分にあっては、外壁(同号ロに規定する建築物又は建築物の部分にあっては、延焼のおそれのある部分に限る。)及び屋根が、準耐火構造であるか、不燃材料で造られているか、又は国土交通大臣が定める防火上支障のない構造であること
三 前条一号イに該当する開放的簡易建築物にあっては、前2号の規定にかかわらず、次に掲げる基準に適合していること。ただし、防火地域、準防火地域及び法第22条第1項の市街地の区域以外の区域にあるもので床面積が150㎡未満のものにあっては、この限りでない。
イ、 主要構造部である柱及びはり(準防火地域(特定防災街区整備地区を除く。)又は法22条第1項の市街地の区域内にある開放的簡易建築物で床面積が150㎡未満のものにあっては、延焼のおそれのある部分に限る。)が準耐火構造であるか、又は不燃材料で造られており、かつ、外壁(準防火地域(特定街区整備地区を除く。)又は同項の市街地の区域内にある開放的簡易建築物で床面積が150㎡未満のものにあっては、延焼のおそれのある部分に限る。)及び屋根が準耐火構造であるか、不燃材料で造られているか、又は国土交通大臣が定める防火上支障のない構造であること。
ロ、 隣地境界線又は当該開放的簡易建築物と同一敷地内の他の建築物(同一敷地内の建築物の延べ面積の合計が500㎡以内である場合における当該他の建築物を除く。)との外壁の中心線(以下ロにおいて「隣地境界線等」という。)に面する外壁の開口部(防火上有効な公園、広場、川等の空地若しくは水面又は耐火構造の壁その他これらに類するものに面するものを除く。以下ロにおいて同じ。)及び屋上(自動車車庫の用途に供する部分に限る。以下ロにおいて同じ。)の周囲で当該隣地境界線等からの水平距離がそれぞれ1m以下の部分について、当該外壁の開口部と隣地境界線との間及び当該屋上の周囲に、塀その他これに類するもので国土交通大臣が通常の火災時における炎及び火熱を遮る上で有効と認めて定める基準に適合するものが設けられていること。
ハ、 屋上を自動車庫の用途に供し、かつ、床面積が1000㎡を超える場合にあっては、屋根が、国土交通大臣がその屋内側からの通常の火災時における炎及び火熱を遮る上で有効と認めて定める基準に適合しているとともに、屋上から地上に通ずる2以上の直通階段(誘導車路を含む。)が設けられていること。
本基準で求められる不燃・準耐火の程度は、建物が立地する地域(防火地域・準防火地域・法22条区域など)によって変わります。各地域の区分と建築制限の違いは「防火地域・準防火地域・22条区域とは?」で解説しています。
防火区画等に関する規定の適用除外(第136条の11)
第136条の11(防火区画等に関する規定の適用の除外)
第136条の9に規定する建築物又は建築物の部分で前条に規定する基準に適合するものについては、第112条、第114条及び第5章の2の規定は適用しない。
帆布造の簡易建築物に使う膜材・帆布について
「屋根・外壁を帆布等で造る建築物」(テント倉庫・膜構造物)では、立地する地域によっては延焼のおそれのある部分に不燃材料・準耐火構造が求められます。用途・地域に応じた膜材選定の際は、以下もあわせてご確認ください。
テント倉庫「国土交通省告示 第666号」(抜粋)



