ディッピング加工とは?エステル帆布のタフな強さと製造工程を解説

公開日:2023年12月18日 / 更新日:2026年6月9日
産業用資材における「ディッピング加工(Dipping)」とは、ポリエステルなどの布地(生機)を、液状の軟質塩化ビニール(PVC)で満たされた槽に丸ごと浸水(ディップ)させる製造技術のことです。
表面に樹脂を塗るだけの加工とは異なり、生地の織り目の隙間や繊維の内部にまでしっかりと樹脂を浸透・付着させることができるのが最大の特徴です。この加工によって生まれた生地は「エステル帆布」などと呼ばれ、非常に高い防水性と耐候性を誇るため、トラックシートやテント倉庫、船舶の帆といった過酷な屋外環境で使われるタフな製品に欠かせない技術となっています。
お客さんから『トラックシートに使われているエステル帆布って、普通のシートよりすごく丈夫で雨も完全に弾くけど、表面に分厚く樹脂を塗っているの?』って聞かれたんだけど、どうやって作られているのかな?
なるほど・・・理解しました。実は表面に塗っているだけではなく、『ディッピング加工』といって、生地を樹脂の液体のお風呂に【丸ごとドボンと浸け込んで】作っているんです!繊維の奥の奥まで樹脂を絡みつかせることで、あのタフな強度と防水性が生まれます。そのダイナミックな製造工程と、仕上がりの違いについて分かりやすくご説明しますね!
この記事のポイント
- 生地を丸ごと液に浸す「ディッピング加工」の仕組み
- 樹脂をガッチリ掴む秘密は「スパン糸の毛羽立ち」
- ローラーの仕上げで変わる「ターポセット」と「フラット帆布」
ディッピング加工とは?樹脂を芯まで染み込ませる強力な製造方法
ディッピング加工(Dipping)は、ポリエステルの織物でも特にスパン糸を使って織られた生機を使用して製造されます。スパン糸の特徴として、細かい糸がより合わさっている為に屈曲に強く、毛羽立ちがあるのでディップした時に樹脂がしっかり絡みつく点にあります。
では具体的にどのような工程で製造されるのでしょうか。
エステル帆布ができるまで!ディッピング加工の4つの製造工程
①帆布を浸漬するための大きなお風呂の様な容器となるディッピングバスというものに、我々業界だと軟質塩ビ(PVC)の液体を入れます。②このディッピングバスに先述したスパン糸で織られた生機を浸して、生機表面だけでなく織り目の隙間までしっかりと塩ビの樹脂を浸漬させます。
③浸した生機をディッピングバスから引き上げ、余分な樹脂をローラーにて取り除きつつ均一な厚みとなる様に仕上げます。
若い方には馴染みがないでしょうが、昔の洗濯機についていた脱水ローラーのイメージです。
④その後、乾燥させて仕上げますが、以前は熱風で乾燥をさせていた為に生機の毛羽等が立ち風合いが綿の様になっていました。
※今は環境対策でCO2発生を減らすために熱板にて水分を飛ばしている為、毛羽立ちが少なくボコボコッとした仕上りとなります。
これにより、コーティングが帆布にしっかりと付着し、防水性や耐候性が向上します。
ローラーで変わる仕上がり。ターポセットとフラット帆布の違い
また必要に応じて、追加の仕上げ作業が行われ、帆布の外観や手触りが調整されることがあります。この追加行程で、さらにローラーにて平たく仕上げるとターポセット、さらに平たく仕上げるとフラット帆布と呼ばれます。
※厳密にはフラット帆布は防炎加工した樹脂に浸したものをオモテ1回、ウラ1回ローラーにて平らに加工したものです。
こうしてできたものは「エステル帆布」と呼ばれることが多く、防水性や耐候性が向上し、野外や船舶などの厳しい環境で使用される製品に適しています。例えば、トラックシート、トラックの幌、帆船の帆、特に屋外用途にて使われます。
また防炎機能を持った「フラット帆布」は大型テントや、テント倉庫等にも使用されます。
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