ディッピング加工

ディッピング加工(Dipping)は、ポリエステルの織物でも特にスパン糸を使って織られた生機を使用して製造されます。
スパン糸の特徴として、細かい糸がより合わさっている為に屈曲に強く、毛羽立ちがあるのでディップした時に樹脂がしっかり絡みつく点にあります。
では具体的にどのような工程で製造されるのでしょうか。

①帆布を浸漬するための大きなお風呂の様な容器となるディッピングバスというものに、我々業界だと軟質塩ビ(PVC)の液体を入れます。
②このディッピングバスに先述したスパン糸で織られた生機を浸して、生機表面だけでなく織り目の隙間までしっかりと塩ビの樹脂を浸漬させます。
③浸した生機をディッピングバスから引き上げ、余分な樹脂をローラーにて取り除きつつ均一な厚みとなる様に仕上げます。
若い方には馴染みがないでしょうが、昔の洗濯機についていた脱水ローラーのイメージです。
④その後、乾燥させて仕上げますが、以前は熱風で乾燥をさせていた為に生機の毛羽等が立ち風合いが綿の様になっていました。
※今は環境対策でCO2発生を減らすために熱板にて水分を飛ばしている為、毛羽立ちが少なくボコボコッとした仕上りとなります。
これにより、コーティングが帆布にしっかりと付着し、防水性や耐候性が向上します。
また必要に応じて、追加の仕上げ作業が行われ、帆布の外観や手触りが調整されることがあります。
この追加行程で、さらにローラーにて平たく仕上げるとターポセット、さらに平たく仕上げるとフラット帆布と呼ばれます。
※厳密にはフラット帆布は防炎加工した樹脂に浸したものをオモテ1回、ウラ1回ローラーにて平らに加工したものです。
こうしてできたものは「エステル帆布」と呼ばれることが多く、防水性や耐候性が向上し、野外や船舶などの厳しい環境で使用される製品に適しています。例えば、トラックシート、トラックの幌、帆船の帆、特に屋外用途にて使われます。
また防炎機能を持った「フラット帆布」は大型テントや、テント倉庫等にも使用されます。
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