倉庫の暑さ対策とは?遮熱シートや間仕切りで猛暑を凌ぐ資材選定の教科書

倉庫の暑さ対策とは?遮熱シートや間仕切りで猛暑を凌ぐ資材選定の教科書

公開日:2026年7月24日 / 更新日:2026年7月24日

倉庫が猛暑になる原因とリスク

倉庫が猛暑になる構造的な原因の図解

倉庫は住宅やオフィスとは異なり、天井が高く、広い空間と大きな搬入口を備えています。そのため、一度建物内へ熱が入り込むと逃げにくく、夏場は外気温以上の環境になることも珍しくありません。

「エアコンを増設したのに思ったほど涼しくならない」というケースも多くありますが、その原因は空調能力だけではなく、屋根から伝わる輻射熱搬入口から流入する熱気にあります。まずは熱がどこから入っているのかを把握することが、効率的な暑さ対策の第一歩です。

屋根から伝わる輻射熱

物流倉庫や配送センターでは、折板屋根が採用されている建物が数多くあります。金属製の折板屋根は太陽光を受け続けることで高温になり、その熱が屋根裏から倉庫内へ放射されます。

この熱は「輻射熱(ふくしゃねつ)」と呼ばれ、空気だけではなく、人や保管している荷物にも直接伝わるのが特徴です。そのため、換気を行っても「頭上から熱を感じる」「風はあるのに暑い」と感じる原因になります。

一般的に、真夏の晴天時には折板屋根の表面温度が60〜80℃程度まで上昇することがあり、条件によってはさらに高温になる場合もあります。

また、屋根裏付近では40〜50℃以上になるケースも見られます。ただし、建物の構造や断熱材の有無、測定位置によって大きく変わるため、自社倉庫で実際に測定し、熱の影響を把握したうえで対策を検討することが重要です。

開口部からの熱気流入

倉庫特有の原因として見逃せないのが、搬入口やシャッターから流入する外気です。フォークリフトやトラックの出入りが多い現場では、シャッターを開放したまま作業する時間が長くなることがあります。

この状態では、外の熱気が絶えず倉庫内へ流れ込み、空調で冷やした空気は外へ逃げ続けます。そのため、空調設備を増設しても十分な効果を感じられないケースが少なくありません。

特に荷捌きエリアと保管エリアが一体になっている倉庫では、搬入口から入った熱気が建物全体へ広がりやすくなります。空調効率を高めるには、搬入口の構造や間仕切りを活用し、空気の流れをコントロールすることが重要です。

見過ごせない経営リスク

倉庫内の暑さは、作業環境だけでなく企業活動にも影響します。

まず、作業者の熱中症リスクが高まります。荷役作業やピッキング作業は身体を動かす時間が長く、輻射熱の影響も受けやすいため、身体への負担は想像以上に大きくなります。

また、暑さによる疲労や集中力の低下は、誤出荷やピッキングミス、作業速度の低下につながる可能性があります。さらに、保管している製品によっては、高温環境によって品質へ影響が生じる場合もあります。

仮にですが、夏場だけ出荷能力が落ちる、作業時間が延びる、誤出荷や作業ミスが増えるといった現象が発生している場合は、倉庫内の温熱環境が影響している可能性があります。まずは温度を測定し、どこから熱が入り、どこで冷気が逃げているのかを確認することをおすすめします。

これら3つのリスクを整理すると、以下のようになります。

リスク項目 具体的な影響と経営へのダメージ
従業員の健康被害 熱中症リスクの増加、労働安全衛生上の課題、人手不足の要因
現場の生産性低下 ピッキングや検品、荷役作業の効率低下、誤出荷や作業ミスの増加
保管商品の品質劣化 製品によっては品質低下や変形、性能低下などが発生する可能性がある

資材で解決する倉庫の暑さ対策

遮熱シートと間仕切りカーテンによる倉庫の暑さ対策イメージ
川畑 川畑
倉庫全体を冷やそうとすると、設備費も電気代も大きくなります。まずは屋根から入る熱を抑え、必要な場所だけを効率よく空調できる環境をつくることが重要です。
熊谷 熊谷
なるほど。倉庫全体を冷やそうとするのではなく、「熱を入れない」「冷気を逃がさない」という考え方で対策するわけですね。

倉庫の暑さ対策では、空調設備を増設する前に、建物へ熱が入りにくい環境をつくることが重要です。また、空調が効いているエリアを必要以上に広げないことで、冷房効率の改善や電力消費の抑制にもつながります。

ここでは、倉庫で採用されることが多い代表的な3つの対策をご紹介します。

遮熱シートによる天面遮熱

倉庫で最も大きな熱源になりやすいのが折板屋根です。そのため、屋根裏や天井面へ遮熱シートを施工し、屋根から伝わる輻射熱を抑える方法が多く採用されています。

遮熱シートは、太陽からの赤外線を反射することで、屋根から室内へ伝わる熱を軽減する資材です。空気を冷やすものではありませんが、倉庫内へ入り込む熱そのものを抑えられるため、その後の空調効率改善にもつながります。

可能性として屋根からの輻射熱が主な原因となっている倉庫では、遮熱シートを施工することで体感温度の改善や空調負荷の軽減が期待できます。ただし、効果は建物の構造や施工方法によって異なるため、事前の現地確認が重要です。

間仕切りカーテンで空調エリアを区切る

倉庫全体を冷房するよりも、作業者が常駐するエリアやピッキングエリアだけを空調する方が、効率的なケースは少なくありません。

透明ビニールカーテンで必要な範囲だけを区切ることで、冷気が倉庫全体へ拡散することを抑え、空調効率の改善が期待できます。透明なシートであれば、区画しても周囲の状況を確認しやすく、フォークリフトや作業者の安全確認もしやすくなります。

シートの厚みは一律に決まるものではありません。一般的な倉庫では0.3mm前後や0.5mm前後の糸入り透明ビニールが採用されることが多い一方で、開閉頻度やサイズ、耐久性などの条件によって適切な仕様は変わります。

「できるだけ軽くしたい」「耐久性を優先したい」といったご要望がある場合は、厚みだけで判断するのではなく、使用環境も含めて資材商社や縫製業者へ相談し、最適な仕様を選定することをおすすめします。

糸入り透明ビニールは、補強糸によって裂けが広がりにくく、透明性を確保しながら耐久性を高められることが特長です。間仕切りカーテンとして採用されることが多く、倉庫や工場など幅広い現場で使用されています。

出入口の構造を見直す

搬入口では、出入りの頻度や風の影響に合わせて構造を選ぶことも重要です。

人やフォークリフトの通行が多い場所では、短冊状のシートを重ねた「のれんカーテン」が採用されることがあります。通行後に自然と閉じるため、搬入口を開放したまま作業する時間を減らし、熱気の流入を抑える効果が期待できます。

一方で、屋外から強い風を受ける場所や大開口部では、のれんカーテンが適さない場合があります。このような現場では、スライドカーテンやシートシャッターなど、設置環境に適した構造を選定することが重要です。

「開閉頻度が高いからこの構造」と一律に決まるものではありません。開口部の大きさ、風の強さ、人やフォークリフトの動線などを総合的に確認したうえで選定することが、長く使える設備につながります。

代表的な対策を整理すると、以下のようになります。

対策方法 主な効果と選定ポイント
遮熱シート 屋根から伝わる輻射熱を抑え、倉庫内へ入り込む熱を軽減する。
間仕切りカーテン 必要な空調エリアだけを区画し、冷気が広がることを抑える。
出入口の改善 出入り頻度や風の影響に合わせて構造を選び、熱気の流入を抑える。

倉庫の暑さ対策でよくある失敗

倉庫の暑さ対策資材の選定で失敗しやすいパターンの図解
熊谷 熊谷
遮熱シートやビニールカーテンを設置すれば、すぐに改善すると思っていました。とりあえず既製品を取り付ければ十分ではないのでしょうか?
川畑 川畑
資材自体は同じでも、選び方や設置方法によって効果は大きく変わります。倉庫は建物ごとに構造や運用が異なるため、現場に合った仕様を選ぶことが重要です。

遮熱シートや間仕切りカーテンは、比較的導入しやすい暑さ対策ですが、「とりあえず取り付ける」だけでは期待した効果が得られないことがあります。

実際には、建物の構造や作業動線、搬入口の使い方などを十分に確認しないまま導入したことで、使いにくくなったり、空調効率が改善しなかったりするケースも少なくありません。

ここでは、実際によく相談を受ける代表的な失敗例をご紹介します。

熱の原因を確認せずに対策してしまう

最も多い失敗が、「暑いから遮熱シート」「暑いからビニールカーテン」と対策を決めてしまうことです。

例えば、屋根からの輻射熱が原因であれば遮熱シートが有効なケースがあります。一方で、搬入口から熱気が流入していることが原因であれば、間仕切りや出入口の改善を優先した方が効果的な場合もあります。

まずはどこから熱が入っているのかを確認し、その原因に合わせて対策を選ぶことが重要です。

運用に合わない構造を選んでしまう

間仕切りカーテンは、見た目が似ていても構造によって使い勝手が大きく異なります。

例えば、人だけが通行する場所と、フォークリフトが頻繁に出入りする場所では適した構造は異なります。また、屋外に面した搬入口では風の影響も考慮しなければなりません。

例えば「カーテンが邪魔だから常に開けたままになっている」という現場では、構造そのものが運用に合っていない可能性があります。

設置後も日常的に使われる設備にするためには、開閉頻度だけで判断するのではなく、人やフォークリフトの動線、風の影響、開口部の大きさまで含めて検討することが大切です。

既製品で対応しようとしてしまう

コストを抑えるためにホームセンターやインターネットで購入した既製品を取り付けるケースもありますが、倉庫ではサイズや形状が合わず、本来の性能を発揮できないことがあります。

特に梁や配管、照明、ラックなどがある倉庫では、四角いシートをそのまま設置すると隙間が生じやすくなります。

わずかな隙間でも熱気は流入し、冷気は逃げてしまいます。その結果、「設置したのに効果を感じない」という状態になることがあります。

既製品でも用途によって十分使用できる場合はありますが、空調効率の改善を目的とする場合は、現場寸法に合わせて製作した方が効果を発揮しやすくなります。

可能性として梁や配管周辺に大きな隙間がある状態では、その部分から熱気が流入し、期待した空調効率が得られない可能性があります。

よくある失敗をまとめると、以下のようになります。

失敗例 起こりやすい問題 改善のポイント
原因を確認せず対策する 期待した効果が得られない 屋根・搬入口・作業エリアなど熱の原因を確認する
運用に合わない構造を選ぶ 使いにくく、常に開放された状態になる 人やフォークリフトの動線、風の影響も考慮して構造を選ぶ
既製品をそのまま設置する 隙間から熱気が流入し、冷気が逃げる 必要に応じて現場寸法に合わせた製作を検討する

倉庫の暑さ対策を相談する流れ

倉庫の暑さ対策を相談する流れと役割分担

倉庫の暑さ対策は、「どこへ相談すればよいか分からない」というご相談も少なくありません。

遮熱シートや間仕切りカーテンは、製品を購入するだけで終わるものではなく、現場調査・資材選定・製作・施工まで複数の工程があります。それぞれの役割を理解しておくと、スムーズに計画を進められます。

① まずは資材商社へ相談する

暑さ対策を検討し始めたら、最初に資材商社へ相談するケースが一般的です。

資材商社では、倉庫の用途や作業内容、搬入口の大きさ、空調設備の有無などを確認しながら、どのような対策が適しているかを整理します。

また、透明ビニール、糸入り透明ビニール、遮熱シート、ターポリンなど、それぞれの資材の特徴や違いを比較し、用途に合わせた材料選定を行います。

現場によって課題は異なるため、「どの資材が一番良い」という答えはありません。まずは熱の原因や運用方法を整理したうえで、適した資材を選定することが重要です。

② 現場に合わせて製作する

使用する資材が決まったら、現場寸法に合わせて製作を行います。

倉庫では梁や配管、照明、ラックなどがあることが多く、既製サイズでは隙間が生じたり、開閉しにくくなったりする場合があります。

そのため、透明ビニールカーテンや間仕切りシートは、周囲補強やハトメ加工、開閉方法なども含め、使用環境に合わせて製作されることが一般的です。

また、開口部が大きい場合や強度が必要な場合は、フレームやレールなど周辺部材も含めて仕様を検討します。

③ 必要に応じて施工する

レールや遮熱シートなどは、施工が必要になる場合があります。

特に高所での作業や大型の間仕切り、屋根下への遮熱シート施工などは、安全面や施工精度の観点から施工業者へ依頼するケースが一般的です。

一方で、小型のビニールカーテンや簡易的な間仕切りなどは、自社で取り付けられる場合もあります。

施工の可否は製品の大きさや設置場所によって異なります。安全性も含めて、事前に確認することをおすすめします。

相談前に整理しておくとスムーズな内容

問い合わせの際は、次のような内容を整理しておくと、より具体的な提案を受けやすくなります。

確認しておきたい内容 理由
暑さを感じる場所 屋根・搬入口・作業エリアなど原因を整理するため
開口部の大きさ・使用状況 適切な構造や資材を選定するため
設置したい範囲 必要な寸法や仕様を検討するため
フォークリフト・人の動線 使いやすい開閉方法を選定するため
写真や簡単な図面 現場状況を把握しやすく、打ち合わせがスムーズになるため

倉庫の暑さ対策は、単に資材を購入するだけではなく、現場の状況に合わせて計画することが重要です。熱の原因を整理し、用途に合った資材を選定することで、より効果的な対策につながります。

よくある質問

倉庫暑さ対策の質問

Q. 空調設備を増設すれば暑さは解決しますか?

A. 必ずしもそうとは限りません。

倉庫内へ熱が入り続ける状態では、空調設備を増設しても十分な効果が得られない場合があります。

まずは屋根からの輻射熱や搬入口から流入する外気など、熱の原因を確認し、「熱を入れない」「冷気を逃がさない」という対策を行ったうえで、必要に応じて空調設備を見直す方が効率的なケースもあります。

Q. ビニールカーテンだけでも効果はありますか?

A. 設置場所や目的によっては効果が期待できます。

例えば、空調している作業エリアだけを区画したい場合は、透明ビニールカーテンによって冷気の拡散を抑え、空調効率の改善につながることがあります。

一方で、屋根からの輻射熱が主な原因である場合は、ビニールカーテンだけでは十分な改善につながらないケースもあります。

そのため、暑さの原因を確認したうえで、遮熱シートや間仕切りなどを組み合わせて検討することが重要です。

Q. どのくらいの厚みのビニールを選べばよいですか?

A. 厚みだけで判断するのではなく、使用環境に合わせて選定することが大切です。

一般的な倉庫では、0.3mm前後や0.5mm前後の糸入り透明ビニールが採用されることが多くあります。

ただし、開口部の大きさや開閉頻度、風の影響、耐久性などによって適した仕様は異なります。

「できるだけ軽くしたい」「耐久性を重視したい」など、ご要望がある場合は、使用環境も含めて相談しながら選定することをおすすめします。

Q. 現場調査は必要ですか?

A. 大型の間仕切りや遮熱対策では、現場調査を行うケースが一般的です。

設置場所の寸法だけではなく、梁や配管、照明、レールの取付位置、フォークリフトや作業者の動線なども確認することで、より使いやすい仕様を検討できます。

【一般論】小型のビニールカーテンなどは寸法のみで対応できる場合もありますが、大型設備や施工を伴う案件では現場確認を行うケースが多くなります。

Q. 倉庫の暑さ対策は何から始めればよいですか?

A. 最初に「どこから熱が入っているのか」を確認することをおすすめします。

屋根からの輻射熱なのか、搬入口からの熱気なのか、それとも空調した空気が逃げているのかによって、適した対策は変わります。

原因を把握したうえで、遮熱シート、間仕切りカーテン、出入口の改善などを組み合わせて検討すると、効率的に暑さ対策を進めやすくなります。

まとめ

倉庫の暑さ対策は、空調機やスポットクーラーの台数を増やすだけでは、十分な改善につながらないことがあります。まずは、折板屋根から伝わる輻射熱、搬入口から流入する外気、空調した冷気が逃げている場所を確認し、「熱を入れない」「冷気を逃がさない」「開口部を管理する」という順番で考えることが重要です。

屋根からの熱が大きい場合は遮熱シート、空調する範囲を限定したい場合は間仕切りカーテン、搬入口からの外気流入を抑えたい場合は、のれんカーテンやスライドカーテンなどが対策の候補になります。ただし、どの資材や構造が適しているかは、開口部の大きさ、風の影響、人やフォークリフトの動線、開閉方法によって変わります。

また、既製品で対応できる現場もありますが、梁や配管、ラック、床の段差などがある場合は、現場寸法に合わせた製作が必要になることもあります。わずかな隙間からも熱気は入り、冷気は逃げるため、単にシートを設置するのではなく、実際の使用環境に合わせて資材、構造、寸法を決めることが大切です。

「何から対策すればよいか分からない」「どのシートや構造が合うのか判断できない」という場合は、現場写真や開口部の寸法、普段の使用状況を整理したうえで、資材商社や縫製・施工業者へ相談してください。倉庫全体を一度に変えるのではなく、暑さの原因が大きい場所や、人が長く作業する場所から優先して対策することで、費用と効果のバランスを取りながら改善を進めやすくなります。

株式会社 星野商店

この記事の監修・執筆

株式会社 星野商店

産業用繊維資材の卸売をはじめ、加工製品の製造から現場施工までをトータルに手掛ける専門企業です。「全従業員の幸福のため、産業用資材をご利用していただくお客様のために、品質・利便性・迅速を追求し、安心をお届けする」という理念のもと、長年培ってきた専門的な知見と確かな技術力で、現場のあらゆる課題解決をサポートします。

※正確で分かりやすい情報発信のため、社内知見を基に生成AIを活用して草案を作成し、専門家が監修しています。

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