クリーンブースのクラス10,000とは?設備構造とビニールシートの選び方

クリーンブースのクラス10,000とは?設備構造とビニールシートの選び方

公開日:2026年7月3日 / 更新日:2026年7月3日

クリーンブースとは、ファンフィルターユニット(FFU)から清浄な空気を送り込み、ビニールシートやパネルなどの囲いによって局所的なクリーン空間をつくる簡易設備です。大がかりな建屋を築くクリーンルームと比べて低コストかつ短納期で設置できる点が特徴で、精密機器の組み立てや食品のパッキングなど、特定の工程だけをピンポイントで清浄化したい現場で広く導入されています。

熊谷 熊谷
工場のライン一部だけをピンポイントでクリーン化したいんだけど、大がかりなクリーンルームを建てる予算やスペースがなくて悩んでいるんだ。何か良い方法はないかな?
川畑 川畑
それなら「クリーンブース」の設置を検討してみてはいかがでしょうか!大がかりな工事を必要とせず、ビニールカーテンなどの資材を活用して、必要な場所だけに低コストで清浄な空間を作ることができますよ。
この記事のポイント
  • クリーンブースとクリーンルームの構造やコストの違いがわかる
  • 目標とする清浄度(クラス)を達成するための設備の優先順位がわかる
  • クリーン空間を維持するために必要なビニールシートの機能性がわかる

クリーンブースとは?クリーンルームとの違いと導入メリット

クリーンブース

クリーンブースとクリーンルームの構造的な違い

特定の空間からゴミやホコリを排除する設備には、大きく分けて「クリーンブース」と「クリーンルーム」の2種類があります。これらは、部屋そのものを丸ごと管理するか、あるいは空間の一部を局所的に囲うかという構造上の規模とアプローチに大きな違いがあります。

クリーンルームが工場建屋と一体化した「部屋そのもの」であるのに対し、クリーンブースはアルミやスチールなどのフレームで骨組みを組み、その周囲をビニールシートや樹脂パネルで囲うことで作られる「箱」のような構造をしています。そのため、大がかりな建築工事を行うことなく、既存の工場フロア内へ容易に設置することが可能です。

項目 クリーンブース(局所・簡易) クリーンルーム(部屋全体)
構造 フレームとビニールシート・パネルによる囲い 断熱パネル等で建築される独立した部屋
コスト 比較的安価(必要な部分のみを囲うため) 高額(建屋工事や大型空調設備が必要)
工期 数日〜短期間での設置が可能 数週間〜数ヶ月におよぶ大規模工事
柔軟性 移動や拡張、レイアウト変更が比較的容易 一度建築すると移動や変更は極めて困難

簡易設置・低コスト・省スペースで選ばれる理由

多くの製造現場でクリーンブースが選ばれる最大の理由は、その圧倒的な手軽さと経済性にあります。部屋全体をクリーンルームにする場合、莫大な初期投資だけでなく、稼働し続けるための電気代(空調管理費用)も大きな負担となります。しかし、実際に高度な清浄度が必要なのは「製品が露出する組み立て工程だけ」「パッキングを行う充填機の周辺だけ」というケースが少なくありません。

クリーンブースであれば、その必要なスポットだけをピンポイントで囲うことができるため、無駄な資材やエネルギーを消費せず、最小限のコストで目的の環境を構築できます。また、将来的なラインの変更や工場の移転に伴う移動・拡張がスムーズに行える点も、変化の激しい現代の製造現場において大きなメリットとなっています。

クリーンブースの清浄度「クラス」の基準と選び方

クリーンブースの清浄度クラス基準と産業別の目安一覧図

製造現場や検査室にクリーンブースを導入する際、最も重要な指標となるのが「清浄度(クラス)」の選定です。求める清浄度によって、必要となる風量や換気回数、さらには壁面・間仕切りに使用すべき選定素材が大きく変化するため、まずは基本となる基準を正しく理解する必要があります。

ISO規格と米国連邦規格(FED規格)の基礎知識

クリーン度の基準には、国際規格である「ISO規格(ISO 14644-1)」と、従来から現場で広く親しまれてきた「米国連邦規格(FED-STD-209D)」の2種類が存在します。

米国連邦規格は2001年に廃止されていますが、日本の製造現場では今なお「クラス10,000」や「クラス1,000」という呼称が主流として使われています。これらは1立方フィート(約28.3リットル)の空気中に、0.5マイクロメートル以上の大きさのゴミやホコリが何個含まれているかを表したものです。数字が小さいほど、ホコリの少ない綺麗な空間であることを意味します。

一方のISO規格は、1立方メートル(1,000リットル)を基準体積としており、クラス1からクラス9の9段階で定義されています。現場で仕様を選定する際は、これら2つの規格がどのように対応しているかを把握しておくことが、ミスマッチを防ぐ第一歩となります。

製造現場で多く求められる「クラス10,000」の目安

実際の産業界において、特にビニールカーテンやシートを用いた簡易型のクリーンブースで多く求められるのが「クラス10,000(ISOクラス7)」という中程度の清浄度レベルです。対象となる産業と、それぞれの具体的な実装・組立工程における目安は以下の通りに分類されます。

対象産業 具体的な該当工程・エリア 一般的に採用される清浄度(目安)
電子・半導体関連 電子基板の実装、電子部品の組立、精密電子デバイスの製造 クラス100〜10,000
(ISOクラス5〜7)
光学・精密機器 光学レンズやカメラ部品の組立、レーザー関連機器の製造・検査 クラス100〜10,000
(ISOクラス5〜7)
精密機械・計測機器 高精度時計、ベアリング、航空・宇宙向け精密部品の組立・加工 クラス100〜10,000
(ISOクラス5〜7)
食品製造 乳製品・飲料・調味料の製造、食品充填工程、包装ライン クラス1,000〜100,000
(ISOクラス6〜8)
医療・ヘルスケア 医療機器製造エリア・検査室・試験室・包装工程 クラス1,000〜100,000
(ISOクラス6〜8)
出典:ISO 14644-1:2015、FED-STD-209E、FDA Guidance for Industry Sterile Drug Products Produced by Aseptic Processing、EU GMP Annex 1
本表は一般的な目安です。実際に必要となる清浄度は、製品・工程・適用される法規制・顧客要求などにより異なります。。
熊谷 熊谷
なるほど!うちの工程だと「クラス10,000」が必要だとよく分かったよ。それなら、最高品質のビニールシートでブースを囲えば、バッチリその清浄度が達成できるよね?
川畑 川畑
実は、そこがクリーンブース設計における「最大の落とし穴」なんです。結論からお伝えすると、「良いビニールだから、クリーン度の高い空間になる」わけではありません。目的のクラスを実現できるかどうかは、設備全体における役割分担を理解することが最も重要です。

■ クリーンブースにおける要素別の重要度バランス
クリーンブース内で目標とする清浄度(クラス)を達成・維持するために欠かせない要素を重要度順に並べると、以下のようになります。

1. FFU(ファンフィルターユニットの性能・風量):★★★★★(最重要)
2. ブースの気密性・陽圧設計:★★★★☆
3. 出入口の構造・人の出入りによる気流の乱れ:★★★★☆
4. 壁面シートの素材(帯電防止や防炎・不燃など):★★★☆☆

クリーン空間を作るための主役は、あくまでも天井部などに設置される「FFU(ファンフィルターユニット)」です。HEパフィルター(高性能エアフィルター)を通した清浄な空気を十分な風量でブース内へ送り続けることで初めて、塵埃が排除されたクリーンな空間が作られます。

では、私たち資材商社がご提案するビニールシートや各種フィルムの役割は何でしょうか。それは、FFUから送り込まれた清浄な空気を逃さず、外の汚れた空気をシャットアウトするための「箱(外壁)」としての機能です。ビニールシートだけでクラスを上げることはできませんが、ブース内の陽圧(周囲より気圧を高くして外気の流入を防ぐ設計)を助け、効率的にクリーン状態を維持するためには、防炎や帯電防止といった特殊な機能性シートが「最高の脇役」として絶対に欠かせないのです。

通常の塩化ビニル樹脂(ビニールシート)は、摩擦や空気の流れによって大気中の静電気を表面に帯びやすく、せっかく高性能なフィルターで空気を綺麗にしても、シート自体がホコリを引き寄せてしまうリスクがあります。帯電防止素材は、表面の静電気を受け流して帯電させないことで、ホコリの付着を根底から防ぐ仕組みを持っています。この具体的な素材の選び方について、次の章で詳しく見ていきましょう。

【問屋目線】失敗しないクリーンブース用ビニールシート・フィルムの選定基準

クリーンブース用ビニールシートの選定基準と機能解説図

クリーンブースにおいて、ビニールシートはFFUが送り出す清浄な空気をしっかりと内部に留めるための「箱(外壁)」の役割を担っています。しかし、どんなビニールでも良いわけではありません。資材選びを誤ると、せっかくのクリーン環境が維持できなくなるばかりか、工場の安全基準を満たせなくなるリスクもあります。ここでは、専門商社の視点から外せない3つの選定基準を解説します。

静電気とホコリの付着を防ぐ「帯電防止(導電)機能」の重要性

クリーンブースの壁面資材を選ぶうえで、最も優先されるのが「帯電防止機能(静電気対策)」です。通常の塩化ビニル樹脂(一般的なビニールシート)は摩擦や空気の流れによって非常に静電気を帯びやすく、大気中のホコリを磁石のように吸い寄せてしまう性質があります。もしブースの壁面が静電気を帯びていると、せっかくフィルターを通して綺麗にした空間であるにもかかわらず、シート表面にホコリがびっしりと付着し、それが剥がれて製品に混入する原因になります。

そこでクリーン環境では、表面の静電気を受け流して帯電させない「帯電防止素材」や、より高い効果を持つ「導電性フィルム」の選定が不可欠です。シート自体にホコリを寄せ付けない環境を作ることで、初めて内部の清浄度(クラス)を安定させることができます。特に電子部品の実装や精密デバイスの製造など、静電気そのものが不良品につながる現場では、この機能が必須要件となります。

工場の安全を守る「防炎・不燃性能」と消防法の関係

次に重要なのが、火災時の安全性を確保するための「防炎性能」および「不燃性能」です。工場内に間仕切りやクリーンブースを設置する場合、日本の消防法や建築基準法により、使用する素材に一定以上の防火性能が求められるケースが多々あります。

ここで混同しやすいのが「防炎」と「不燃」の定義の違いです。資材を正しく選定するためにも、以下の違いをしっかりと押さえておきましょう。

性能区分 正確な定義と素材の特徴
防炎性能 火がついても燃え広がりにくい性質。火源を離すと自然に消える「自己消火性」を持つ。一般に「防炎認定」を受けたシートがこれに該当する。
不燃性能 「絶対に燃えない」という意味ではない。正しくは「燃え広がらない+燃え抜けしない(炎が裏側に貫通しない)」性能のこと。ガラス繊維などが基材となる。

前提として、一般的な塩化ビニルをベースにしたシートは「絶対に燃える素材」であるため、ビニール自体に「耐火性能」という表記は使えません。火災時に激しく燃え広がらないように加工されたものが「防炎シート」であり、さらに厳しい防火区画や消防の指導がある現場では、ガラス繊維を基材とした「不燃膜材(不燃間仕切り)」を使用する必要があります。現場の法令遵守と安全のためにも、導入前に管轄の消防署や信頼できる資材商社へ基準を確認することが重要です。

可塑剤の経年劣化によるベタつき・硬化への対策

クリーンブースを長期間にわたって快適に運用するためには、ビニール特有の「劣化メカニズム」も知っておく必要があります。ビニールシートが持つ独特の柔軟性は、製造時に樹脂へ練り込まれる「可塑剤(かそざい)」という添加剤によって保たれています。

しかし、この可塑剤は経年変化によって少しずつ表面に染み出してくる性質を持っています。古いビニールシートが「なんとなくベタベタする」と感じるのは、この可塑剤の移行(にじみ出し)が原因です。さらに劣化が進んで可塑剤が完全に抜けきると、今度はビニールがパリパリ・バリバリに硬化し、最終的には小さな衝撃で簡単に破れてしまいます。

可塑剤が表面にベタつくと、そこにホコリや微粒子が密着しやすくなり、クリーンブースとしての機能が著しく低下します。これは軟質塩ビで絶対に起きうる状況です。使用環境やどの生地かによりますが帯電防止タイプは、通常の防炎のみのタイプよりもベタツキが早くなります。定期的なメンテナンス・適切な周期での張替えを視野に入れた資材選定を行うことが、長期的なコストパフォーマンスを高める鍵となります。

自作(DIY)や簡易ビニールカーテンによるクリーン空間構築の注意点

簡易クリーンブースに設置された帯電防止ビニールカーテンの仕様例

熊谷 熊谷
工場内の一部をビニールカーテンで囲って、簡易的なクリーン空間(ブース)を自作しようと考えています。コストを抑えつつ自分たちで仕様を決めたいのですが、どのような点に注意すれば良いでしょうか?
川畑 川畑
簡易的なクリーン空間を作る場合、一般的な間仕切りと同じ感覚で選んでしまうと、運用後に「クリーン性能が満たせない」「逆にほこりが発生してしまう」という大きなトラブルに繋がります。現場の実態に即した正しい仕様選定が必要です。

工場や精密機器を扱う現場において、一部のエリアをビニールカーテンで仕切って簡易的なクリーン空間を構築するケースは増えています。しかし、クリーン環境を維持するためには、素材そのものが静電気を帯びてホコリを吸着するのを防ぐ「帯電防止素材」であることはもちろん、カーテンの「構造」や「加工仕様」の選定において、発塵(ほこりの発生)を徹底的に排除する視点が不可欠となります。一般家庭用や通常の作業場向けとは全く異なる、現場の実態に基づいた判断基準を理解しておくことが重要です。

発塵(ほこり)を徹底的に排除する構造選び

クリーン空間において、最も避けなければならないのが「摩耗や着脱によって資材自体からほこりが発生すること」です。一般的なビニールカーテンでよく使われる手法が、クリーン環境では重大なNGとなるケースが複数存在します。

まず、カーテン同士の隙間を密着させるために、手軽な「マジックテープ(面ファスナー)」の加工を検討される方が多くいらっしゃいます。しかし、クリーン空間においてマジックテープの使用は原則として行われません。マジックテープは着脱(ベリベリと剥がす動作)の際に、繊維がちぎれて大量の微細なほこり(発塵)を周囲に飛散させてしまうため、微細な異物を嫌うクリーン環境では致命的な汚染源となります。そのため、気密性を高める目的であってもマジックテープは使用せず、マグネットなど発塵性のない方法でアプローチするのが業界の鉄則です。

また、カーテンの構造分類についても慎重な選定が求められます。人の出入りが頻繁な場所に、短冊状のシートを並べた「のれんカーテン」を検討される場合がありますが、クリーン空間構築においてのれんカーテンを使うことはほぼありません。何枚ものシートが重なり合う構造上、シート同士が擦れ合うことで静電気が発生しやすくなるだけでなく、わずかな空気の拠り所でシートがめくれ、外部の空気が容易に流入して気密性を損ねてしまうためです。クリーン空間の構築には、隙間の少ないフラットな「プレーンカーテン」をベースに選定することが基本となります。

バタつき防止と気密性を両立する仕様の工夫

クリーンブースやクリーンルーム内は、外部からの空気の侵入を防ぐために「陽圧(室内の気圧を高く保つ状態)」にコントロールされることが多く、常に一定の空気の流れが存在します。そのため、適切な重みや固定が施されていないビニールカーテンは、内圧によって簡単にバタついてしまい、隙間からクリーンな空気が漏れたり、外部の空気を巻き込んだりします。

このバタつきを抑えるための構造として、カーテン全体に一定間隔でパイプを仕込む「芯材カーテン(間仕切りポールを入れる仕様)」が挙げられます。この芯材がある前提であれば、床面に穴をあけて丸落としのピンでシートを床面にしっかりと固定する「落としピン加工」を組み合わせることで、カーテンを強固に固定しバタつきを抑えることが理論上は推奨されます。しかし、クリーン空間においては、この芯材を中間部に何本も入れてしまう仕様は避けるべきです。カーテンを走行・開閉させるたびに、レールとランナー、あるいはパイプ接触部から細かな金属粉や樹脂粉が摩耗によって発生し、クリーン環境を汚染するリスクが高まるためです。

そのため、クリーン空間における実際の仕様としては、芯材は先頭材(カーテンが閉まりきる先頭のポール)のみに配置する形が理想となります。そして、中間部のバタつきや下部からの空気漏れを防ぐ解決策としては、カーテンの下部(裾部分)に袋状の加工を施し、その中にチェーン(重り)を入れて対応する仕様となるのがほとんどです。シート全体をシンプルでフラットな構造に保ちつつ、最下部に均等なウエイト(チェーン)を仕込むことで、開閉時の摩耗粉の発生を最小限に抑えながら、陽圧によるシートのめくれ上がりやバタつきをしっかりと抑制することができます。このように、現場のクリーン度に応じた適材適所の仕様決定は、信頼できる資材商社や縫製業者に相談しながら進めるのが確実です。

よくあるご質問

クリーン空間用ビニールカーテンの仕様選定イメージ

帯電防止ビニールカーテンの耐用年数は何年ですか?

屋内の安定したクリーン環境で使用する場合、一般的な材料寿命の目安はおおむね通常の防炎カーテンであれば3~5年ほど使用可能ですが、帯電防止タイプとなると帯電防止の効果を出す為の界面活性剤の影響もあり、3~4年ほどとなります。実際にはもっと使用される場合もありますし、開閉頻度が多いと1~2年で破損する場合もありあす。またビニール素材は配合されている可塑剤(かそざい)の経年変化に伴い、徐々に表面がベタついたり硬化したりする性質があるため、柔軟性が失われる前に定期的な点検と掛け替えを行うことが、ブース内のクリーン性能を維持するために推奨されます。

マジックテープの代わりに隙間を塞ぐ方法はありますか?

発塵を伴うマジックテープ(面ファスナー)の代替策としては、ビニールカーテンの先頭材(間仕切りポール)に「マグネット(磁石)ラバー」を仕込む方法が最も一般的です。また、カーテン同士を非接触で深く重ね合わせる「抱き合わせ(オーバーラップ)構造」に仕立て、下部にチェーン重りを入れて内圧による隙間の開きを抑える手法も、発塵リスクのない有効な気密対策として広く採用されています。

まとめ:簡易クリーン空間構築のための仕様チェックリスト

クリーン空間ビニールカーテンの仕様チェックイメージ

熊谷 熊谷
なるほど、これが正解か!単に透明なビニールで囲えば良いわけではなく、発塵リスクやバタつき防止のための構造まで緻密に計算して仕様を決めなければならない理由がよく分かりました。
川畑 川畑
そうですね。簡易的なクリーン空間やクリーンブースを構築する際は、一般的な間仕切りカーテンの常識を一度捨てて、現場の実態に即した選定を行うことが、導入後のトラブルを防ぐ唯一の方法です。

工場内に精密な環境やクリーン空間を構築する際は、初期の設置手間に留まらず、運用開始後に「要求されるクリーン度を安定して維持できるか」「資材そのものが空間の汚染源(発塵源)にならないか」という品質管理の視点が極めて重要になります。一般的な透明ビニールをただ吊り下げるだけ、あるいは安易な部材選定をしてしまうと、静電気による異物吸着や、開閉時の摩耗粉によって、かえってクリーン環境を悪化させるリスクが生じかねません。

検討段階や仕様の最終確認として、以下のチェックリストをご活用ください。求める環境基準(クラス基準)を満たすために、適材適所の構造および加工になっているかを整理することができます。

クリーン空間構築のための仕様チェックリスト
  • シート素材は、大気中の静電気を受け流してホコリの付着を防ぐ「帯電防止素材」を選定しているか
  • 隙間を塞ぐ目的であっても、剥がす際に繊維がちぎれて発塵(ほこり)の原因となる「マジックテープ」を確実に排除しているか(マグネットラバー等への代替)
  • シート同士の摩擦による静電気発生や、気密性の低下を招く「のれんカーテン」ではなく、隙間のない「プレーンカーテン」をベースにしているか
  • カーテン開閉時のレールやランナー、パイプ接触部からの微細な摩耗粉の発生を防ぐため、中間部の芯材を無くし、芯材は「先頭材のみ」の最小限に留めているか
  • 陽圧によるシートのめくれ上がりやバタつきを防ぐため、下部(裾部分)を袋加工にして「チェーン(重り)」を仕込む、クリーン環境の実績仕様になっているか

これらの仕様は、現場の図面や要求されるクリーン度、室内の陽圧(内圧)の度合いによって、ミリ単位の最適な組み合わせや加工精度が変化します。大気中のホコリを徹底的に制御しなければならないクリーン環境において、材料の切り出しや特殊な加工(裾の袋加工やマグネットの仕込みなど)を独自の判断で進めることは、性能面・耐久面ともに大きなリスクを伴います。事前に素材選定の深い知見を持つ信頼できる資材商社や、高精度なオーダーメイド加工が可能な縫製業者、施工業者に相談しながら仕様を確定させることが、失敗のない確実な空間構築への最善策です。

株式会社 星野商店

この記事の監修・執筆

株式会社 星野商店

産業用繊維資材の卸売をはじめ、加工製品の製造から現場施工までをトータルに手掛ける専門企業です。「全従業員の幸福のため、産業用資材をご利用していただくお客様のために、品質・利便性・迅速を追求し、安心をお届けする」という理念のもと、長年培ってきた専門的な知見と確かな技術力で、現場のあらゆる課題解決をサポートします。

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