アンカーボルトの種類と使い分け方|母材・設置場所・環境ごとの選定基準

公開日:2026年11月4日 / 更新日:2026年11月4日
アンカーボルトは、固定する母材と加わる力に合わせて選びます。コンクリートへあとから施工する場合は「金属系あと施工アンカー」と「接着系あと施工アンカー」が代表的で、接着系あと施工アンカーの中でも広く知られている名称が「ケミカルアンカー」です。
選定では、まず引張力・せん断力のどちらに耐える必要があるかを確認し、その後にアンカーの種類、M10・M12などの径、埋込み深さ、本数などを決めます。木下地や鉄骨の場合は、コンクリート用アンカーとは別の固定方法を検討します。
テント・シート業界では、間仕切ブース、テント倉庫、上屋テント、通路テント、固定テント、巻上テント、オーニングなど、床や壁へ構造物を固定する場面が数多くあります。
本記事では、アンカーの商品名を覚えるのではなく、「何の力に耐える必要があるのか」「どこへ固定するのか」「そのうえでどのアンカーを選ぶのか」という順番で初心者向けに解説します。
- アンカーの強さは1種類ではない:引張とせん断という異なる方向の力がある
- 最大強度と許容値は別:カタログで一番大きな数値をそのまま使用できるわけではない
- 最初に確認するのは母材:コンクリート・鉄骨・木材・ALCなどで固定方法が変わる
- ケミカルアンカー:一般的な分類では接着系あと施工アンカー
- M10・M12:基本的にはねじの呼び径で、強さそのものではない
- 大型テント:基礎とアンカーを構造設計の中で決める
- 木下地:コンクリート用アンカーではなく、木材用のビスやボルト等を検討する
アンカーボルトとは?テントや間仕切りを建物へ固定するための金具
アンカーとは、コンクリートなどの母材へ構造部材や設備、金具などを固定するための部材です。
例えば工場内へ間仕切ブースを設置する場合には、柱のベースプレートをコンクリート床へ固定します。テント倉庫や上屋テントでは柱脚と基礎を固定し、固定テントやオーニングではブラケットやフレームを建物へ固定します。
つまりアンカーは、単に「抜けないようにするボルト」ではありません。
構造物へ加わった風、自重、振動などの力を、建物や基礎へ伝える重要な接合部分です。
「床か壁か」より先に「何に固定するか」を確認する
| 固定先 | まず確認すること | 固定方法の方向性 |
|---|---|---|
| コンクリート | 強度・厚さ・ひび割れ・端部までの距離 | 金属系・接着系・先付けなどから条件に合わせて選定 |
| 鉄骨 | 鉄骨位置・板厚・接合可能な位置 | ボルト接合・溶接等を検討 |
| 木材 | 柱・梁・下地材の位置、材厚、接合部 | ラグスクリュー・構造用ビス・貫通ボルト等を検討 |
| ALC | ALCパネルの厚さ・その奥の構造体 | ALCだけに大きな荷重を負担させず、構造体への固定を優先検討 |
| ブロック・中空壁 | 内部が空洞か、構造材があるか | 専用品があっても、構造物固定に使用できるとは限らない |
固定テントやオーニングなどを壁面へ取り付ける場合、「壁に穴があくからアンカーを打つ」という考え方では不十分です。
壁の奥にあるRC躯体、鉄骨、木柱、梁など、荷重を受けられる部分へどのように固定するかを確認します。
アンカーの「強さ」は何に対する強さ?引張とせん断を理解する
アンカーのカタログには「最大引張強度」「許容引張力」「せん断強度」など、さまざまな数値が掲載されています。
最初に理解したいのは、アンカーの強さは1種類ではないということです。
引張力|アンカーを抜こうとする力
引張力とは、アンカーをコンクリートから引き抜こうとする方向の力です。
例えば、床へ固定したテントの柱が風によって倒れようとすると、柱脚の片側は床へ押し付けられ、反対側は持ち上がろうとします。
このとき、持ち上がる側のアンカーにはコンクリートから抜こうとする力が加わります。
壁面へ取り付けた固定テントやオーニングでも、風によってブラケットが壁から引き離されようとすれば、アンカーには引張力が加わります。
アンカーをまっすぐ引っ張ったときに、どれくらいの力に耐えるのかを見るのが引張方向の強さです。
せん断力|アンカーを横へずらそうとする力
せん断力とは、アンカーを横方向へずらそうとする力です。
例えば壁へ取り付けたブラケットには、テントや金物の自重によって下方向へずれようとする力が加わります。
床へ固定した間仕切ブースでも、人や台車がぶつかったり、横方向の力が加わったりすれば、アンカーへせん断力が作用します。
アンカーを横から押して「ずらす・切る」方向の力がせん断力です。
実際には引張とせん断が同時にかかる
実際のテントや間仕切りでは、引張だけ、せん断だけというケースばかりではありません。
例えば固定テントでは、自重によって下方向へのせん断力が加わりながら、風によって壁から引き離そうとする引張力も加わります。
テント倉庫の柱脚でも、風によって柱を持ち上げようとする力と、横へずらそうとする力が同時に発生します。
「引張強度だけ高ければよい」「せん断強度だけ見ればよい」というものではありません。
「kN」は力の大きさを表す単位
アンカーの性能表では、強さがkN(キロニュートン)で表示されることがあります。
目安として、1kNは約102kgfに相当します。
| 表示 | おおよその力のイメージ |
|---|---|
| 1kN | 約102kgf |
| 5kN | 約510kgf |
| 10kN | 約1,020kgf |
| 20kN | 約2,040kgf |
最大強度と許容値は同じではない
| 表示例 | 考え方 |
|---|---|
| 最大引張強度 | 引張方向へ荷重を加え、破壊等に至るまでに得られた最大値 |
| 最大せん断強度 | せん断方向の試験で得られた最大値 |
| 許容引張力 | 設計上使用するため、安全側に設定された引張方向の値 |
| 許容せん断力 | 設計上使用するため、安全側に設定されたせん断方向の値 |
例えば「最大引張強度30kN」と書かれていても、30kNまで通常使用できるという意味ではありません。
カタログで一番大きな数字を探すのではなく、その数字が何を表しているのかを見ることが重要です。
アンカーより先にコンクリートが壊れることもある
大きな引張力が加わった場合、必ずアンカーの金属部分が切れるとは限りません。
アンカー周辺のコンクリートが円すい状にまとまって抜けるコーン状破壊が起こることがあります。
ほかにも、アンカー筋そのものの破断、定着部分からの抜け、コンクリート端部の破壊などがあります。
太いアンカーを使えば必ず強くなるわけではありません。アンカーが強くても、固定される側のコンクリートが耐えられなければ、そこで全体の強さが決まります。
強度表はこの順番で見る
- 引張なのか、せん断なのか
- 最大値なのか、許容値・設計値なのか
- アンカー1本当たりの数値なのか
- どのコンクリート強度を前提としているか
- 埋込み深さはいくつか
- へりあきやアンカー間隔などの条件は何か
アンカーボルトの主要な種類|固定する仕組みの違いを理解する
金属系あと施工アンカー|金属部分を広げて固定する
すでに固まったコンクリートへ穴をあけ、その内部でアンカーの一部を広げたり、くさびを効かせたりして機械的に固定する方式です。
施工方法によって、芯棒打込み式、本体打込み式、スリーブ打込み式、ウェッジ式などに分かれます。
「穴をあけ、金属そのものの機構によってコンクリートへ固定するアンカー」と考えると分かりやすくなります。
接着系あと施工アンカー|接着剤でアンカー筋を定着する
接着系あと施工アンカーは、コンクリートへあけた孔の中へ接着剤を入れ、全ねじボルトや異形棒鋼などのアンカー筋を定着させる方式です。
カプセル状の接着剤を使用する方式や、カートリッジから樹脂を注入する方式などがあります。
一般名称は「接着系あと施工アンカー」|広く知られているケミカルアンカー
接着系あと施工アンカーを説明するとき、よく登場する名称が「ケミカルアンカー」です。
現場でも「ケミカルを使う」「ケミカルで固定する」といった表現が広く使われています。
- 一般的な分類名称:接着系あと施工アンカー
- 広く知られている名称:ケミカルアンカー
- 「ケミカルアンカー®」:日本デコラックス株式会社の登録商標
つまり一般に「ケミカルアンカー」と呼ばれているものは、接着剤によってアンカー筋を定着する接着系あと施工アンカーの仲間と理解すると分かりやすくなります。
ただし、「ケミカルアンカーなら必ず強い」「端に近くても大丈夫」という意味ではありません。
先付けアンカーボルト|コンクリートを打つ前から設置する
先付けアンカーボルトは、基礎コンクリートを打設する前にアンカーボルトを所定の位置へ配置し、コンクリートと一体化させる方式です。
テント倉庫や上屋テントなどでは、構造設計に基づいて先付けアンカーボルトが使用されます。
取り外しできる特殊なアンカーもある|ヒジカタボルトなど
その代表例の一つが、泰生工業の「ヒジカタボルト」です。
ヒジカタボルトは、コンクリートへ所定の下穴をあけ、アンカーを挿入してボルトを締め込むことで固定するタイプです。
特徴は、撤去するときにボルトを緩めることでアンカーを取り外せることです。
工場内の間仕切ブースや設備、防護柵など、将来的にレイアウト変更や移設を行う可能性がある場所では、このような撤去可能型アンカーも選択肢になります。
ただし、撤去できるという理由だけで選ぶのではなく、必要耐力や母材条件を確認します。
アンカーの「M10」「M12」などの数値は何を表している?
M10・M12の「M」はねじの呼びを表す
| 表示 | 基本的な意味 |
|---|---|
| M8 | ねじの呼び径 約8mm |
| M10 | ねじの呼び径 約10mm |
| M12 | ねじの呼び径 約12mm |
| M16 | ねじの呼び径 約16mm |
一般的には径が大きくなるほど大きな力を負担できる製品が増えますが、M12だからM10より必ず何倍も強い、とは判断できません。
アンカーの種類、材質、埋込み深さ、母材強度などによって性能が変わるためです。
M10だから10mmのドリルで穴をあけるわけではない
M10はねじ径の呼びであって、施工する穴の径ではありません。
スリーブ式アンカーなどでは、ねじの周囲にアンカー本体があるため、実際のアンカー外径や指定ドリル径はM10より大きくなります。
例えば、あるM10のアンカーでは、ねじの呼びがM10でもアンカー外径14mm、ドリル径14.5mmという仕様があります。
施工するときはM10という数字からドリル径を判断せず、メーカー指定のドリル径を確認します。
「M10×70」の70は何を表す?
一般的なボルト寸法では、「M10×70」であればM10がねじの呼び径、70が長さを表します。
ただし、アンカーの商品品番に「1070」などの数字が入っていても、必ず「M10・長さ70mm」を意味するとは限りません。
品番の付け方はメーカーやシリーズによって異なるため、品番だけから寸法を判断しないことが重要です。
全長・埋込み長さ・穿孔深さは別の数値
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 全長・ボルト長さ | アンカーやボルトそのものの長さ |
| 埋込み長さ | アンカーが母材内部へ定着している長さ |
| 穿孔深さ | ドリルで母材にあける孔の深さ |
| 取付物厚さ | ベースプレート・ブラケット等の厚さ |
全長=埋込み長さ=穿孔深さではありません。
固定する金物の厚さも確認する
同じM10アンカーでも、長さが複数用意されている場合があります。
例えば厚さ6mmのベースプレートと厚さ20mmのブラケットでは、同じ埋込みを確保する場合でも必要なアンカー全長が変わります。
径だけではなく、固定する金物の厚さまで含めてアンカーの長さを確認します。
アンカー表はこの順番で見ると分かりやすい
- 強度:必要な引張・せん断性能を満たすか
- ねじの呼び:M8・M10・M12など
- 取付物厚さ:固定する金物の厚さに対応できるか
- アンカー全長:必要な長さを確保できるか
- ドリル径:何mmのドリルを使用するか
- 穿孔深さ:どこまで穴をあけるか
- 埋込み長さ:母材内部へどれだけ定着させるか
- 締付トルク:指定がある場合は所定値で締め付ける
下地が木の場合は?コンクリート用アンカーとは固定方法が違う
木下地への固定では、木柱・木梁など、荷重を受けられる構造材を確認し、その木材に適した接合具を使用します。
| 固定方法 | 特徴 | 考え方 |
|---|---|---|
| ラグスクリュー | 太い木ねじ状の接合具 | ブラケット等を木柱・木梁へ固定する方法の一つ |
| 構造用ビス | 木材接合用として設計された専用ビス | 製品ごとの設計値・施工条件に従って使用 |
| 貫通ボルト | 木材を貫通させ、反対側から座金とナットで締結 | 裏側へ施工可能な場合に検討 |
| 専用接合金物 | 木造用ブラケット等 | 構造や荷重条件に応じて使用 |
「木の壁」にビスを打てばよいわけではない
木造建物でも、表面にはサイディング、合板、石膏ボードなどが施工されていることがあります。
これらへビスを打っただけでは、固定テントやオーニングから伝わる風荷重を負担できない場合があります。
重要なのは「木に固定した」ことではなく、「柱や梁など、必要な荷重を受けられる構造材へ固定できているか」です。
木材では割れや端部にも注意する
木材へ太いビスやラグスクリューを施工する場合、端部へ近すぎると木材が割れる可能性があります。
下穴、接合具の径・長さ、本数、間隔なども製品ごとの条件を確認します。
「長いビスをたくさん打てば強くなる」という単純な考え方ではありません。
【用途別】間仕切ブース・テントではどの固定方法を使う?
| 設置するもの | 主な固定先 | 基本的な考え方 |
|---|---|---|
| 屋内間仕切ブース | コンクリート床 | 金属系あと施工アンカーが候補。将来撤去する場合は撤去可能型も検討 |
| テント倉庫 | RC基礎 | 構造設計に基づく先付けアンカーボルト等 |
| 上屋テント | RC基礎 | 柱脚へ大きな風荷重が作用するため構造設計で決定 |
| 通路テント | RC基礎・既存躯体 | 柱脚側と建物接続側で固定方法が異なる場合がある |
| 固定テント | RC・鉄骨・木下地等 | 建物構造を確認してアンカー・ボルト・木材用接合具等を選択 |
| 巻上テント | RC・鉄骨・木下地等 | 風荷重を受ける構造体へ固定する |
| オーニング | RC・梁・鉄骨・木柱等 | アームから伝わる力を負担できる構造体へ固定する |
間仕切ブース|コンクリート床なら金属系あと施工アンカーが候補
工場内の間仕切ブースでは、柱脚のベースプレートを既存のコンクリート床へ固定する施工が一般的です。
条件が合えば、金属系あと施工アンカーが候補になります。
ただし、床が薄い、床の状態が悪い、配管や電線管などが埋設されている場合があります。
「コンクリートに見えるから打つ」のではなく、床構造を確認してから施工します。
将来間仕切りを移設・撤去する可能性が高い場合には、撤去可能型アンカーも検討できます。
テント倉庫・上屋テント|アンカーは構造設計の一部
テント倉庫や上屋テントでは、屋根や壁面が受けた風圧が鉄骨を通して柱脚へ伝わります。
そのため柱脚を固定するアンカーには、大きな引張力やせん断力が作用します。
このクラスでは「金属系かケミカルか」という商品選びから始めません。
構造計算→柱脚・基礎設計→アンカーボルトの径・本数・配置・埋込みを決定する、という順番になります。
通路テント|同じテントでも固定方法が違うことがある
通路テントでは、一方を独立柱で支え、もう一方を既存建物へ接続する構造などがあります。
その場合、柱脚側はRC基礎へのアンカー、建物側はRCへのあと施工アンカー、鉄骨へのボルト接合、木下地への木材用接合具など、同じテントでも場所によって固定方法が変わります。
固定テント・巻上テント・オーニング|壁の表面ではなく構造を見る
RC躯体であれば金属系・接着系あと施工アンカーが候補になります。
鉄骨下地ならボルト接合等、木造なら柱・梁へのラグスクリュー、構造用ビス、貫通ボルト等が候補になります。
ALC、サイディング、中空壁、ブロック等の場合には、その表面材だけへ風荷重を負担させる前提で固定方法を決めないことが重要です。
金属系アンカーとケミカルアンカーはどう使い分ける?
| 比較項目 | 金属系あと施工アンカー | 接着系あと施工アンカー |
|---|---|---|
| 固定方法 | 拡張部やくさび等によって機械的に固定 | 孔内の接着剤によってアンカー筋を定着 |
| 施工後 | 所定の施工完了後、比較的すぐ固定できる | 所定の硬化時間・養生が必要 |
| 施工管理 | ドリル径・穿孔深さ・孔内清掃・打込み・締付け等 | 穿孔径・深さ・孔内清掃・樹脂・アンカー筋・硬化時間等 |
| 選定 | 必要耐力・母材・埋込み・へりあき・ピッチ等 | 必要耐力・母材・埋込み・へりあき・ピッチ・温度・施工条件等 |
どちらか一方が全面的に優れているわけではありません。
必要な性能と施工条件から選ぶというのが基本です。
ケミカルアンカーは孔内清掃と硬化時間も重要
接着系あと施工アンカーは、穴をあけて接着剤を入れれば終わりではありません。
穿孔後に孔内の切粉を除去し、ブラシがけや吸じんを行い、所定の方法で接着剤とアンカー筋を施工します。
その後、指定された硬化時間まで動かさず養生します。
アンカーは商品を選んだ時点で性能が決まるのではなく、正しく施工されて初めて所定の性能を発揮します。
失敗しないアンカー・固定方法の選定フロー
- 何を設置するのか
- どこへ固定するのか
- 母材はコンクリート・鉄骨・木材・ALC等の何か
- 引張・せん断のどの力が、どの程度かかるのか
- 常設か、将来撤去・移設する可能性があるか
- 必要耐力・径・本数・配置・埋込み等を決める
- 条件に合うアンカー・ビス・ボルト・接合金物を選ぶ
- 指定された方法で施工・確認する
へりあき・アンカー間隔も確認する
アンカーがコンクリート端部へ近すぎたり、複数のアンカーを狭い範囲へ集中させたりすると、アンカーより先に周囲のコンクリートが破壊する場合があります。
隣り合うアンカー同士の中心間距離を「アンカーピッチ」といいます。
接着系アンカーでも、「接着するから端部へ自由に施工できる」わけではありません。
屋外では材質・表面処理も確認する
屋外では雨水や湿気による腐食も考える必要があります。
沿岸部では塩害、工場では薬品や結露など、さらに厳しい環境になることがあります。
ステンレス製や溶融亜鉛めっきなど、設置環境に合った材料を検討します。
アンカーだけでなく、ブラケット、ナット、ワッシャーなど周辺金物まで含めて考えることが重要です。
【問屋目線】現場で避けたいアンカー選定・施工の考え方
カタログの一番大きな数字だけを見る
最大引張強度が大きくても、その数値まで通常使用できるとは限りません。
引張・せん断のどちらか、最大値か許容値か、母材条件は何かまで確認します。
M10だから10mmのドリルを使う
M10はねじの呼び径であり、施工する穴の径ではありません。
メーカーが指定するドリル径を確認します。
ケミカルアンカーなら何とかなると考える
接着系あと施工アンカーは非常に有用ですが、万能ではありません。
母材そのものの強度が不足していれば、接着剤が強くてもコンクリート側が破壊する可能性があります。
「困ったらケミカル」ではなく、母材と荷重条件から選びます。
壁の仕上げ材だけを見て固定する
ALC、サイディング、合板、石膏ボードなど、見えている壁材がそのまま構造上の荷重を負担できるとは限りません。
固定テントやオーニングでは、荷重を建物のどの構造部材へ伝えるのかを先に確認します。
木下地なら長いビスをたくさん打てばよいと考える
木材の断面、端部からの距離、ビスの径・長さ・本数・間隔などによって性能は変わります。
木材でも、太く長いビスを増やせば必ず強くなるわけではありません。
撤去予定があるのに取り付けることだけを考える
工場内の間仕切りなどでは、将来レイアウト変更する可能性があります。
あらかじめ分かっているのであれば、固定性能だけでなく、撤去時にどうなるかまで考えて固定方法を選ぶことも重要です。
よくあるご質問
アンカーボルトの強さは何を表していますか?
主に、アンカーを抜こうとする「引張」と、横方向へずらそうとする「せん断」に対する強さです。実際には両方が同時に作用する場合もあります。
最大引張強度10kNなら約1トンまで使えますか?
そのようには判断できません。10kNは力として約1,020kgfに相当しますが、その値が最大試験値なのか許容値なのかで意味が違います。母材や埋込み条件なども確認する必要があります。
アンカーボルトとケミカルアンカーの違いは何ですか?
一般にアンカーボルトは構造物等を母材へ固定する部材を広く指して使われます。一方、一般に「ケミカルアンカー」と呼ばれているものは、接着剤を利用してアンカー筋をコンクリートへ定着する接着系あと施工アンカーです。
ケミカルアンカーは正式な一般名称ですか?
分類としての一般名称は「接着系あと施工アンカー」です。「ケミカルアンカー」は広く知られている名称ですが、「ケミカルアンカー®」は日本デコラックス株式会社の登録商標です。
M10のアンカーは10mmの穴をあければいいですか?
いいえ。M10は基本的にねじの呼び径です。アンカー外径や必要なドリル径は製品によって異なるため、メーカー指定値を確認します。
M10なら何kgまで耐えられますか?
M10という数字だけでは判断できません。アンカーの種類、引張・せん断の方向、埋込み深さ、コンクリート強度、へりあき、アンカー間隔などによって耐力が変わります。
間仕切ブースをコンクリート床へ固定する場合は?
十分な厚さと強度を持つコンクリート床であれば、金属系あと施工アンカーが候補になります。ただし、床厚、埋設物、ひび割れ、必要耐力等を確認します。
テント倉庫ではどのアンカーを使いますか?
テント倉庫では柱脚へ大きな風荷重が作用するため、アンカーボルトも構造設計の一部として決定します。新設基礎では構造計算に基づく先付けアンカーボルトなどを使用します。
固定テントやオーニングを壁へ取り付ける場合は?
まず建物の構造を確認します。RCであればあと施工アンカー、鉄骨ならボルト接合等、木造なら柱・梁等への木材用接合具などを検討します。
木造にはアンカーを使わないのですか?
RC用のあと施工アンカーとは固定方法が異なります。木下地ではラグスクリュー、構造用ビス、貫通ボルト、木造用接合金物などを使用します。
一度施工したアンカーは外せませんか?
種類によります。一般的な打込み式では本体が残る製品もありますが、ヒジカタボルトのように撤去できる特殊なアンカーもあります。
まとめ|アンカーではなく「固定する相手と加わる力」から考える
アンカーには非常に多くの種類がありますが、初心者が最初から商品名をすべて覚える必要はありません。
まず確認するのは、何を固定するのか、どこへ固定するのか、そしてどの方向へどの程度の力が加わるのかです。
アンカーの強さには主に引張とせん断があり、カタログでは最大強度と許容値など異なる数値が掲載されています。
M10・M12といった数字は基本的にねじの呼び径であり、それだけでアンカーの強さは判断できません。
- 強さを見る:引張か、せん断かを確認する
- 数値を見る:最大値か許容値・設計値かを確認する
- 母材を見る:コンクリート・鉄骨・木材・ALC等で固定方法が変わる
- M10・M12:基本的にはねじの呼び径。強度そのものではない
- 金属系と接着系:単純な強弱ではなく条件から選ぶ
- テント倉庫・上屋テント:アンカーまで含めて構造設計で決める
- 固定テント・オーニング:壁の表面ではなく構造体を確認する
- 木下地:ラグスクリュー・構造用ビス・貫通ボルト等を検討する
- 撤去予定:撤去可能型アンカーも選択肢になる
構造上重要な部分へあと施工アンカーを使用する場合には、各メーカーの設計・施工資料や、一般社団法人 日本建設あと施工アンカー協会(JCAA)が公開する資料等を確認し、適切な設計・施工を行ってください。







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