ハトメ(アイレット・グロメット)の種類と選び方|形状・素材・補強を解説

公開日:2026年7月23日 / 更新日:2026年7月23日
ハトメ(アイレット)とは、シートや布地に設けた穴を補強し、ロープや金具を通すための部材です。一般的な丸ハトメだけでなく、爪付きの鬼ハトメ、ベルトを通す楕円型ハトメ、風や空気を抜くための網ハトメなどがあります。ハトメ単体の種類だけでなく、通す金具の大きさ、使用環境、ハトメピッチ、端部の補強方法まで含めて選ぶことが重要です。
- ハトメ・アイレット・グロメット・鬼ハトメの呼び方と違いがわかる
- 丸型・楕円型・鬼ハトメ・網ハトメの用途がわかる
- #25・#28などの番手と、通す金具との関係がわかる
- ハトメ周辺の破れを防ぐ、2つ折りとターポリンテープ補強がわかる
ハトメ(アイレット・グロメット)とは?役割と呼び方の違い
ビニールシート、テント生地、ターポリン、メッシュシートなどに設けた穴を、そのままの状態で使用すると、ロープやフックで引っ張った際に穴の周囲から生地が裂けてしまいます。
この穴の周囲を金属や樹脂のリングで補強し、ロープ、フック、Sカン、カラビナ、ワイヤーなどを通せるようにする部材が「ハトメ」です。
ハトメは単なる穴飾りではありません。シートを吊る、固定する、張るといった用途において、力を受ける重要な部分です。ただし、ハトメを付ければ生地が破れなくなるわけではなく、ハトメの大きさやピッチ、端部補強との組み合わせが重要になります。
ハトメ・アイレット・グロメットの違い
ハトメ周辺では複数の呼び方が使われますが、業界やメーカーによって意味の範囲が異なる場合があります。
| 名称 | 一般的な意味 |
|---|---|
| ハトメ(鳩目) | 日本国内で広く使われる呼び方です。シートや布地の穴を補強するリング状の部材全般を指して使われます。 |
| アイレット(Eyelet) | 英語由来の呼び方です。国内ではハトメとほぼ同じ意味で使われることがあります。 |
| グロメット(Grommet) | 穴を補強・保護する部材を指す英語です。国内のテント・シート業界では、爪付きの鬼ハトメをグロメットと呼ぶこともあります。 |
| 鬼ハトメ | 裏側の座金に爪が付いたハトメです。爪が生地へ食い込み、一般的なハトメよりも抜けにくい構造です。 |
「グロメット」という言葉は、必ずしもすべての業界で鬼ハトメだけを指すわけではありません。図面や見積書に記載されている場合は、名称だけで判断せず、形状や品番を確認する方が確実です。
ハトメとカシメの違い
ハトメと似た加工部品に「カシメ」がありますが、使用目的は異なります。
ハトメは中央に穴があり、ロープや金具を通すための部材です。一方、カシメは生地やベルトなどを重ねて接合するための部材で、基本的には金具を通す穴として使用するものではありません。
ロープやフックを通す穴を補強したい場合はハトメ、生地同士やベルトを固定したい場合はカシメを使用します。
ハトメの形状と構造の種類
ハトメは、すべて同じ構造ではありません。表側のハトメ本体だけで取り付けるもの、裏側に座金を使用するもの、座金へ爪が付いたものなどがあります。
片面ハトメと両面ハトメ
| 種類 | 構造と特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 片面ハトメ | 裏側に独立した座金を使用せず、本体の足を広げて固定するタイプです。 | 軽量な生地、小物、装飾用途など |
| 両面ハトメ | 表側のハトメ本体と裏側の座金で生地を挟み、かしめて固定します。 | ビニールカーテン、ターポリン、テント生地、各種シート類 |
産業用のビニールカーテンやシートでは、表側と裏側から生地を挟める両面ハトメが一般的です。
ただし、両面ハトメを使用しただけで強度が決まるわけではありません。生地の厚み、補強テープ、ハトメの足長、穴の大きさ、かしめ具合が合っていないと、ハトメが外れたり、生地が切れたりする原因になります。
鬼ハトメ(爪付きハトメ)
鬼ハトメは、裏側の座金に爪が付いたタイプです。かしめる際に爪が生地へ食い込むため、一般的な平座金のハトメよりも抜けにくい構造です。
トラックシート、大型の野積みシート、テント生地など、比較的大きな引張荷重がかかる用途で使用されます。
楕円型ハトメ
楕円型ハトメは、丸いロープよりも、平たいベルトや帯状の部材を通す用途で使用されます。
丸型ハトメとは使用する金具や加工機が異なるため、使用するベルトの幅や厚みを確認したうえで選定します。
網ハトメ
網ハトメは、穴の部分が細かな網状になっているハトメです。シート内部の風抜けや空気抜けを目的として使用されることがあります。
一般的なロープやフックを通すためのハトメとは用途が異なり、通気を確保したいカバーや袋状の製品などで採用されます。
網ハトメはシートを固定するための穴ではなく、風や空気を逃がすための部材として考えるとわかりやすいでしょう。
ハトメの材質による違い
ハトメには、真鍮、アルミ、ステンレス、樹脂などがあります。材質は、価格だけでなく、強度、加工性、腐食への強さ、使用環境を考えて選びます。
| 材質 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 真鍮 | 強度と加工性のバランスがよく、シート加工で広く使用されます。 | テント生地、ターポリン、屋内外の各種シート |
| アルミ | 軽量で加工しやすく、比較的安価です。 | ビニールカーテン、軽量シート、一般的な屋内用途 |
| ステンレス | 耐食性に優れていますが、材料費と加工費は高くなる傾向があります。 | 沿岸部、水回り、洗浄を行う場所、腐食を避けたい環境 |
| 樹脂 | 金属を使用しないためサビません。金属製とは強度や加工条件が異なります。 | 水回り、金属を避けたい場所、軽量用途 |
真鍮製ハトメ
真鍮は、テント生地やターポリンなどで広く使われる材質です。強度と加工性のバランスがよく、かしめた際にも比較的安定しやすい特徴があります。
屋外で使用されることもありますが、設置環境や表面処理によっては変色や腐食が発生することがあります。
アルミ製ハトメ
アルミは軽量で柔らかく、加工しやすい材質です。ビニールカーテンや軽量なシートで多く使用されます。
一般的な屋内用途では使いやすい材質ですが、強い荷重が継続的にかかる用途では、ハトメの大きさや補強仕様を含めて確認する必要があります。
ステンレス製ハトメ
ステンレスは、雨、水分、塩分などによる腐食を抑えたい場合に選ばれます。沿岸部、水洗いを行う場所、食品工場などで採用されることがあります。
一方で、硬い材質のため、対応するハトメ金具、駒、加工機が必要です。すべての加工業者が同じように対応できるとは限りません。
樹脂製ハトメ
樹脂製ハトメは金属を使用しないため、サビが発生しません。水回りや金属部材を避けたい場所で採用されます。
ただし、金属製ハトメと同じ強度や耐久性があるとは限りません。屋外常設や大きな荷重がかかる用途では、使用条件を確認したうえで選ぶ必要があります。
ハトメのサイズ表記と番手の見方
ハトメは「#25」「#28」などの番手で呼ばれます。番手が変わると、主に穴の内径や外径が変わります。
ただし、番手の数字だけで正確な寸法を判断するのは危険です。メーカーや種類によって寸法が異なる場合があるため、実際の選定では製品規格を確認します。
確認する寸法
- 内径:ロープ、フック、カラビナなどを通す穴の大きさ
- 外径:生地を押さえるハトメ全体の大きさ
- 足長:生地や補強部分を挟み込む部分の高さ
特に重要なのは内径と足長です。内径が小さければ使用する金具が通らず、足長が短ければ厚い補強部分を十分にかしめられません。
#25と#28の使い分け
| 番手 | 内径の目安 | 主な用途 |
|---|---|---|
| #25 | 約10mm | Sカン、小型フック、装飾テント、比較的小さな金具を使用する場合 |
| #28 | 約12mm | ビニールカーテン、カラビナ型ランナー、やや太い金具を使用する場合 |
| #30・#32など | 製品により異なる | トラックシート、ロープ掛け、大型シートなど |
ビニールカーテンでは、以前は#25も多く使用されていましたが、現在は6mm程度のカラビナ型ランナーを通しやすい#28が選ばれることが増えています。
一方で、既存設備のSカンやランナーをそのまま使用する場合は、#25が適していることもあります。標準だから#28と決めるのではなく、実際に通す金具を確認することが重要です。
ハトメの選定では「何番を使うか」よりも、「何を通すのか」を先に確認する方が失敗を防げます。
ハトメピッチと取付位置の決め方
ハトメの間隔を「ハトメピッチ」と呼びます。ビニールカーテンでは、200mmから300mm程度の間隔で配置されることが一般的です。
ただし、カーテンの幅、重量、使用するランナー、開閉頻度などによって適したピッチは変わります。
ピッチを広くするとハトメとランナーの数を減らせますが、1か所あたりの負担が大きくなり、吊ったときの生地の垂れ方も変わります。
反対に、ピッチを狭くすれば荷重を細かく分散できますが、ハトメとランナーの数が増え、価格や開閉時の抵抗にも影響します。
端のハトメ位置も重要
ハトメは等間隔に並べるだけではなく、左右端から最初のハトメまでの位置も重要です。
端に近すぎると生地のかかり代が不足して破れやすくなり、内側へ入りすぎると端部が垂れたり、隙間ができたりします。
ハトメピッチは、見た目だけでなく、シートの重量、開閉方法、使用するランナーの数、端部の納まりまで含めて決めます。
ハトメ周辺の破れを防ぐ補強方法
ハトメ周辺の破れを防ぐには、ハトメの材質や大きさだけでなく、シート端部の補強が重要です。
補強のない1枚の生地へ直接ハトメを取り付けると、引っ張る力がハトメ周辺へ集中し、生地が裂けたり、ハトメごともぎ取られたりすることがあります。
基本は2つ折り加工
ビニールシートやターポリンの端部は、一般的に生地を2つ折りにして補強します。
折り返した部分は、熱溶着が可能な生地であればウェルダーで溶着し、縫製が適した生地や仕様ではミシンで固定します。
3重に折り返す加工は一般的な標準仕様ではなく、通常は2つ折りを基本として、必要な強度に応じて補強材を追加します。
2つ折り+ターポリンテープ補強
より強度が必要な場合は、2つ折り部分へターポリンテープを重ねて補強します。
ターポリンテープは、用途や生地に応じてウェルダーで溶着するか、ミシンで縫い付け、その補強部分へハトメを取り付けます。
- ウェルダー溶着:PVC系生地やターポリンなど、熱溶着に適した生地で使用
- ミシン縫製:溶着が難しい生地や、縫製仕様が適した製品で使用
2つ折りとターポリンテープ補強を組み合わせることで、ハトメ周辺だけへ力が集中しにくくなります。
コーナー部分の補強
四角いシートの角は、複数方向から引っ張られるため、辺の途中よりも負担が集中しやすい部分です。
大型シートや強い張力を掛ける用途では、角へ追加の生地や補強材を重ねるコーナー補強を行うことがあります。
ハトメ加工で起こりやすいトラブル
ハトメは、金具の種類が合っていても、穴あけやかしめ加工が不適切であれば正常に固定できません。
穴が大きすぎる
ハトメを取り付ける穴が大きすぎると、ハトメの足が生地を十分に保持できず、使用中に抜ける原因になります。
穴は、使用するハトメの足が通る適切な寸法で開ける必要があります。
穴が小さすぎる
穴が小さすぎる状態で無理にハトメを通すと、生地へ余計な切れ込みが入り、そこから裂けることがあります。
足長が合っていない
ハトメには、生地を挟む部分の高さである「足長」があります。
2つ折りや補強テープを重ねた部分に対して足長が短すぎると、十分にかしめられません。反対に長すぎると、きれいに固定できなかったり、座金との間に隙間ができたりします。
かしめ不足
かしめる力が不足すると、ハトメ本体と座金が十分に固定されず、使用中に緩んだり外れたりします。
かしめすぎ
強くかしめればよいわけではありません。過度に力を掛けると、ハトメの縁や座金が生地へ食い込み、かえって生地を切る原因になります。
ハトメ加工では、ハトメ本体、座金、穴あけポンチ、かしめ用の駒を同じ規格で揃える必要があります。
ハトメの追加・交換はDIYでできる?
小型シートへのハトメ追加や簡易的な補修であれば、市販工具を使用して加工できる場合があります。
ただし、既にハトメ周辺の生地が裂けている場合は、同じ場所へ新しいハトメを取り付けるだけでは補修にならないことがあります。
必要な工具
- 穴あけポンチ:生地へハトメ用の穴を開ける工具
- ハトメ打ち具・駒:ハトメと座金をかしめる工具
- ハンマーまたはハンドプレス:かしめるための工具
- ゴム板・打ち台:穴あけ時の下敷き
- 補強用の生地・テープ:ハトメ周辺の強度を補う材料
基本的な加工手順
| 工程 | 作業内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 1. 位置決め | ハトメを取り付ける位置を決めます。 | 端へ寄せすぎず、必要なかかり代を確保します。 |
| 2. 補強 | 必要に応じて補強テープや当て生地を追加します。 | 単層の生地へ直接取り付けると、周囲から破れることがあります。 |
| 3. 穴あけ | ハトメに合ったポンチで穴を開けます。 | 穴を大きく開けすぎないようにします。 |
| 4. ハトメをセット | ハトメ本体、生地、座金の順にセットします。 | ハトメと座金の表裏を確認します。 |
| 5. かしめ | 専用の駒で垂直にかしめます。 | かしめ不足とかしめすぎの両方に注意します。 |
業者へ依頼した方がよいケース
- 大型のビニールカーテンやシート
- 屋外で継続的に使用する製品
- ハトメ周辺の生地が既に破れている場合
- 2つ折りやターポリンテープ補強が必要な場合
- 鬼ハトメや大型ハトメを使用する場合
- ハトメの位置やピッチを正確に揃える必要がある場合
現場で失敗しないハトメの選び方
ハトメを選ぶ際は、材質や番手を先に決めるのではなく、実際の使用方法から順番に確認します。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 何を通すのか | ロープ、Sカン、カラビナ、フック、ワイヤー、ベルトなど |
| どこで使うのか | 屋内、屋外、水回り、沿岸部、洗浄環境など |
| どの程度の力が掛かるのか | 吊り下げ、固定、張り込み、開閉、繰り返し使用など |
| どの生地へ取り付けるのか | 透明ビニール、ターポリン、テント生地、メッシュ、帆布など |
| 端部をどう補強するのか | 2つ折り、ターポリンテープ、コーナー補強など |
| どのピッチで配置するのか | シートの幅、重量、ランナー数、固定方法から決定 |
ハトメは単品だけを見て選ぶ部材ではありません。通す金具、生地、補強、使用方法を一緒に考えることが重要です。
よくあるご質問
Q1. ハトメとアイレットは違うものですか?
国内では、どちらもシートや布地の穴を補強する部材として、ほぼ同じ意味で使われることがあります。ただし、メーカーや業界によって呼び方の範囲が異なるため、品番や形状まで確認する方が確実です。
Q2. グロメットと鬼ハトメは同じですか?
国内のテント・シート業界では、爪付きの鬼ハトメをグロメットと呼ぶことがあります。ただし、英語のGrommetは穴を補強・保護する部材を広く指すため、必ずしも鬼ハトメだけを意味するとは限りません。
Q3. ビニールカーテンには#25と#28のどちらを使いますか?
使用するランナーや金具によって選びます。小型のSカンなどを使用する場合は#25、6mm程度のカラビナ型ランナーを使用する場合は、穴が大きい#28が選ばれることが増えています。
Q4. ハトメの間隔はどのくらいが一般的ですか?
ビニールカーテンでは200mmから300mm程度が目安です。ただし、カーテンの幅や重量、ランナー、開閉頻度によって適したピッチは変わります。
Q5. ハトメ周辺の破れを防ぐにはどうすればよいですか?
シート端部を2つ折りにし、必要に応じてターポリンテープを追加します。補強部分は、生地や仕様に応じてウェルダー溶着またはミシン縫製で固定し、その上からハトメを取り付けます。
Q6. 3重に折り返した方が強くなりますか?
一般的なシート加工では、3重折りを標準とすることはほとんどありません。通常は2つ折りを基本とし、必要に応じてターポリンテープや当て生地を追加します。
Q7. 網ハトメは何に使いますか?
網ハトメは、穴の部分から風や空気を抜くために使用されます。一般的なハトメのようにロープやフックを通す部材とは用途が異なります。
Q8. 屋外ではステンレス製を選べば間違いありませんか?
ステンレスは耐食性に優れますが、すべての屋外用途で必須ではありません。使用期間、荷重、生地、設置環境、加工費などを含めて選定します。
Q9. DIYでハトメを追加できますか?
小型シートや簡易用途であれば可能です。ただし、ハトメと工具の規格、穴の大きさ、足長、補強方法が合っていないと、ハトメが外れたり、生地が破れたりする原因になります。
まとめ:ハトメは金具・生地・補強をセットで選ぶ
ハトメは、シートや布地に設けた穴を補強し、ロープやフックなどを通すための部材です。
一般的な丸ハトメのほか、抜けにくい鬼ハトメ、ベルトを通す楕円型ハトメ、風や空気を抜く網ハトメなどがあり、用途によって使い分けられます。
【ハトメ選定・加工のチェックリスト】
- 通す金具に合った内径か:ロープ、Sカン、カラビナ、フックなどを確認する
- 生地と用途に合った材質か:真鍮、アルミ、ステンレス、樹脂から選ぶ
- 生地の厚みに合った足長か:2つ折りや補強テープを含めた厚みを確認する
- 適切なピッチか:シートの幅、重量、使用方法に合わせて決める
- 端部補強が適切か:2つ折り+ターポリンテープを溶着または縫製する
- 角部分へ力が集中しないか:必要に応じてコーナー補強を追加する
ハトメを大きくしたり、硬い材質へ変更したりするだけでは、シート全体の強度は決まりません。使用する金具、シート生地、端部補強、ハトメピッチを一緒に考えることが重要です。
既存品と同じ仕様で製作したい場合や、屋外用の大型シート、特殊なハトメ加工が必要な場合は、現物や図面を確認できる資材商社、テント・シート加工業者へ相談してください。










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